俺:28歳、普通の会社員。

彼女:24歳、交際一年。きっかけは合コン。ショートカットの安田美紗子似。

男友:タメ。彼女持ち。でも風俗大好き。

女友:タメ。俺と下の二人の男友は高校時代からの親友。勿論性的な関係など無い。

俺の彼女との面識は二人とも無し。

ただ、顔とかは写メなんかで知ってる。

彼女は俺の友達二人の事を全く知らない。

ある日、てかついこの間、深夜に女友から「話がある」って事でファミレスに呼び出された。

そういう事自体はまぁ珍しくない。

もう眠かったけど真剣な様子だったから目を擦りながら行った。

席には先に女友が座ってた。

めっちゃ眉間に皺寄せて機嫌悪そうだった。

女友は普段から結構勝ち気っていうか、ドラマとかによくいるキャリアウーマンって感じのキャラなんだけど、そん時ばかりはそういうの普段の様子とは別の感じで苛立ってる感じだった。

いつもは聡明で、決断力もあって俺と男友を引っ張っていくくらいの女友なんだけど、その時は歯切れは悪いわ、話の要領が得ないわで、なんか見るからに動揺してたんだ。

どうも男友から相談を受けているらしいという事がわかった。

そんなのいつもの事だ。

それこそ高校の頃から彼女の誕生日プレゼントやデートプランなんかも女友に面倒見てもらってたんだから。

何を今更・・・って感じだった。

なかなか女友の話は核心に近づかなかった。

時々複雑な表情で俺の方をちらちらと見たり、氷をつっついたりしてて、こんな女友は初めてだった。

なんかよっぽどの事なんだろうなって思ったけど、正直もういい時間だったので業を煮やした俺は単刀直入に聞いた。

俺「何なの?どうしたん?」

女友「あのさ・・・最近、彼女さんとどう?」

俺「え?いや別に。普通だよ。っていうか男友の事じゃねえの?」

女友「うん、まぁそうなんだけどさ」

俺「何だよお前おかしいぞ?っていうか、もう眠いからさっさと言ってくれよ」

女友「わかった・・・わかったよ。先に言っとくけど聞いても冷静でいてね?わかった?」

俺「わかってるよ」

女友「あのさ、男友ってさ、結構アレじゃん?なんかいかがわしい店とか行ってるじゃん?」

俺「ああそうだな」

女友「あのさ、それでさ、男友から私に相談されたんだけどさ。あんたには絶対内緒でって」

俺「はぁ?何それ?何で?」

女友「あのね、男友がね、行った店の娘がね、あんたの彼女じゃないかって」

俺「いやありえないだろ。バカバカしい」

女友「いや、私も男友から相談された時そう思ったんだけどさ・・・」

俺「思ったけど何?」

女友「HPの顔写真とかすごい似ててさ」

俺「そんなもん加工してあるし、だいたい似てる女の子なんていくらでも居るだろ」

女友「もちろんそうなんだけどさ・・・でも泣きボクロまで一緒ってあんまなくない?」

俺「え?マジで?」

女友「うん・・・それとさ、なんていうかさ・・・」

俺「は?え?何?まだあんの?もうちゃんと言えって!」

女友「ちょっと怒鳴んないでってば!」

俺「・・・悪い」

女友「なんて言うかさ・・・その・・・男友がさ・・・その子と仲良くしちゃってるっていうか」

俺「は?」

女友「だからさ・・・そういうお店なんでしょ?私知らないけど・・・」

俺「なにそれ?男友が俺の彼女を指名してるって事?」

女友「あー・・・うん・・・まぁそういう事なのかも」

俺「そんなの信じられると思うか?バカバカしい」

女友「私もそう思うけどさ・・・」

俺「っていうか男友は何て言ってたんだよ?」

女友「だから『あいつの彼女と知りつつも俺こんな事してていいのかな?』って・・・」

俺「良いわけないだろ?馬鹿かあいつ」

女友「いや、だからまだあんたの彼女と確定したわけじゃないしさ」

俺「でもその可能性あるのに、その店に何度か行ってるって事だろ?っていうか何?ヘルス?キャバクラ?」

頼むからソープだけはやめてくれよって心の中で何度も念じた。

でも意味無かった。

女友「・・・なんか・・・その・・・最後までしちゃうお店・・・なんだって」

それ聞いた瞬間から数秒は記憶無い。

気付いたら俺の前にあったグラスが割れてて、俺の手が切れて血が出てた。

そんで女友が泣きながら俺の手をハンカチで拭いてた。

店を出た俺と女友はしばらく駐車場でウダウダやってた。

別にどっちも喋ったりしない。

俺が黙々と電柱蹴ったり。

それを見かねた女友が、手の治療も兼ねて家に招待してくれた。

ハンカチ巻いてただけだったし。

ちなみに彼女を含んだ4人とも一人暮らし。

俺と彼女は勿論お互いの家を行き来してたし、俺、男友、女友も同様。

それから女友の家で治療(といっても絆創膏貼るくらいの傷だったけど)を受けつつ、今後の事を話し合った。

俺「とりあえず男友の相手が彼女かどうか確定させる」

女友「まぁそれが先決だね。でもちゃんと彼女さんの話聞きなよ?事情があるかもしれないんだし」

俺「店の名前とか知ってる?」

女友「ごめん。それは知らない」

もう時間も遅かったし、その日は解散。

別れ際に女友は謝罪してきた。

俺に言うかどうか散々迷ってたんだろう。

女友に礼を言って帰宅。

次の日、俺は会社休んでずっとボーっとしてた。

(ちなみに職場はみんな別々)

何も考えなかった。

特に悲しいとか、怒りも無かった。

とにかく虚脱感というか、虚無な感じ。

男友と彼女に追求すんのも面倒くせーよ、もうどうでもいいわって感じだった。

だけど夕方あたりに、男友からメールがあった。

『これから会えないか?』って。

俺は無視した。

動くの怠かったから。

いつの間にか日が暮れてた。

そしたら今度は彼女からメール。

彼女『仕事終わった?今から御飯作りに行ってあげようか?』みたいな感じ。

朝からろくにメシも食べてなかったし、向こうから来てくれるんなら丁度良いやって事で、一言「お願いするわ」とだけ返信した。

30分後くらいに、買い物袋を手に下げて彼女到着。

ちょっと様子がおかしい俺を心配する彼女。

彼女「大丈夫?元気無いの?」

なんか顔を見てもあんまり実感沸かなかった。

やっぱり怒りとかも無かった。

でも愛情も無くて、これからも二人でやってこうって気にもならなかった。

とりあえず御飯だけ作って貰って、それを食べた後いつも通り片付けを二人でした。

その間、俺はほぼ無言&生返事。

彼女はずっと訝しげな感じだった。

彼女はさてこれから何しようかって感じだったんだけど、俺は座らせて、我ながら唐突に直球勝負をした。

もう面倒臭かったから、駆け引きとか。

俺「お前風俗で働いてんの?」

彼女は絶句してた。

そのリアクションで悟った。

ああ本当なんだって。

彼女「・・・なんで?」

質問にそう返すときって大体嘘がばれた時だよな。

俺「お前の客に俺の知り合いがいた」

彼女さらに絶句。

目の泳ぎ方もすごい。

なんか雨に濡れた小動物って感じで震えてた。

俺「なんで?金が必要だった?」

彼女は返事せず。

しばらくすると泣き出した。

その間もずっと俺は「何で?」って聞いてた。

一時間くらい経ったかな。

やっと話聞けた。

別に特別な事情などなく、要約すると「真面目に働くのがバカバカしくなるくらい簡単にお金が稼げるから」って事。

その瞬間、すーーっと完全に冷めた。

もう詳細とか聞く必要も無いって思った。

俺「とりあえず帰って」

彼女「許してくれる?もう辞めるから」

俺「無理。別れて」

その後、結構長い間「許して」「無理」のやりとりを繰り返した。

とりあえずって事でその日は帰らせた。

もう会うつもりも無かったけど。

帰り際、「知り合いって誰?」としつこく聞かれたけど「教える必要は無い」で通した。

ここまでは割とスムーズだった。

本当の問題はこっからだった。

その後すぐに女友にメール送った。

俺『本当だったよ。そんで別れた』

女友『そっか。お疲れ。大丈夫?』

俺『何が?別に』

女友『明日、暇なら気分転換付き合うけど?』

俺『いや、いいわ。寝てる』

女友『わかった。何か出来ることあるなら言ってね。それと男友とは話した?』

俺『ありがとう。男友とはまだ。そのうち話するわ。今はなんかしんどい』

そんな感じでその日は終わり。

それで次の日が先週の土曜。

男友とは今後どうしようか、なんて考えながら朝からずっとふて寝してた。

携帯には元彼女からずっとメールや留守電あったけど無視。

男友からも『おーい。返信しろよ』って返信を催促するメールあったけど無視。

女友からは気遣いのメールがあったからそれだけ返信。

問題はここから。

そのまま寝てたら、夕方あたりに珍しい知り合いから連絡。

“今すぐどうしても会え”としつこい。

そいつは女友の親友。

だけど俺は正直そいつが好きじゃなかった。

女友と正反対でデリカシーが無くて自己中な性格。

ややDQM気味、しかし友達思いではある。

正反対だからこそウマが合うのだろうか。

とにかく今度はそいつからファミレスに呼び出された。

断るのも億劫になるくらいしつこかったし、まぁ気分転換になるかとまたファミレスに行った。

女友の親友は出会い頭・・・。

「あんた別れたんでしょ?女友と付き合いなさい」

「はぁ?」

「女友はずっとあんたが好きだったの。だから付き合いなさい」

「お前頭おかしいのか?」

「ふざけないで。これマジだから」

俺は困惑した。

そんな素振りは一切無かった。

それに何故それをこいつから聞かなきゃならんのだと。

「あの子彼氏が出来てもすぐ別れるでしょ?あんたの所為よ。高校の時から好きだったんだから」

「嘘つけ。本当だとしても何でお前がそれ言うんだよ。マジで馬鹿じゃねえの?」

「・・・だってあの子がもう告白はしないって言ってんだもん」

「なんで?諦めたんならそれで良いじゃないか」

「違うわよ馬鹿!あの子が告白したらあんたと付き合う為に男友の秘密をあんたに教えたみたいでしょ?あたしは『それでも良いじゃん!むしろ利用したら一石二鳥じゃん』って言ったんだけど、あの子はあんたに彼女の秘密を警告するなら、もう自分から告白しないって決めたの。それは卑怯だって。それでもあんたに警告したのよ?責任取りなさいよ。あの子が不器用なの知ってるでしょ?さっさとあんたから告白しなさい」

俺はもう逃げるようにファミレスから去った。

彼女の風俗云々よりもよっぽど動揺した。

正直に言うと、昔は何度か異性として気にもしていた。

今では完全にただの友達って感じだったけど、中身は言うまでもなく、見た目も悪くない。

というか良い。

でもいきなりそんな事言われても、やはりただの友達として過ごした時間が長すぎた。

もし告白されてたとしても、断っていた可能性のが高かったと思う。

それでも嬉しかった。

少しだけ、彼女としての女友を想像してニヤついたりもした。

わりと気分が晴れた。

その時は正直、女友と付き合う気満々だった。

ただいきなりは確かに節操も無いし、ひと月かそれくらい時間を空けて俺から告るか、なんて考えていた。

まぁ失恋のショックを癒そうって考えもあったかもしれない。

でも女友となら、入り口がどうであれ、なんの問題もなく真剣に付き合えると思った。

そこでまた男友から連絡があった。

メールじゃなくって電話だった。

真剣な様子で「お前ん家行っていいか?」と。

気分が良い俺は「今、外だからお前ん家行くよ」と言って男友の家にそのまま向かった。

部屋に入るなり、男友は土下座してきた。

どうも女友が自分で俺にバラした事を男友に教えたらしい。

俺は男友を許した。

気分も良かったし。

でも流石に今後はもうこいつとは少し距離を置こうとは考えていたけど。

どうせだから元カノの話も聞こうと思った。

酒を飲みながら話した。

元カノはソープじゃなくてデリヘルだった。

男友が初めて客として対面したのは半年くらい前。

俺の彼女だともう初めから半分気付いてたらしい。

でも彼氏は居るのかと聞いても、居ないと言ってた。

それを営業トークと分かった上で、それを“免罪符”にして何度も指名した。

男友はかなりのデカチンらしく、お得意さんになったという事もあって元カノから挿入をOKしてきたらしい。

あんまりでかいから興味があったんだと。

それからは会うたびに本番もしてたって。

男友が「他にも本番しちゃってるの?」と聞くと、「ん~、そんなにしないよ」と笑ってた話だ。

ショックと言えばショックだけど、その程度か、なんて思ってた。

二次や創作とはいえ、寝取られ好きだったので耐性が出来てたのだろうか。

俺が要求してないのに、男友は「今後はもうあの子は指名しない」と言ってきた。

本当の問題はここからだった。

男友はずいぶん酔っ払っていたし、俺への引け目もあったんだろう。

それを誤魔化すためにテンションがおかしかった。

そしてこんな事を言い出した。

男友「それにしても女友もむかつくよなぁ!絶対秘密にしてくれって言ったのに。あいつも俺のデカチンでいきまくってるくせによぉ!」

聞き間違いだと思った。

でもその瞬間、男友は「あ、やべ」みたいな顔をして空気が変わった。

男友は誤魔化すかのように笑ってた。

俺は聞き返すのが怖かったけど、それでも聞いた。

俺「え?なに?・・・お前らって・・・そういうことなの?」

男友「え?はは・・・あ~・・・まぁ・・・な」

俺「え?え?いつから?」

男友「いつからっていうか・・・まぁ、あいつの最初は俺だし、俺の最初もあいつ・・・みたいな?」

俺は怒ることも出来なかった。

だって今はただの友達だし。

何も言う資格なんてなかったから。

だから男友から話を聞きだすので精一杯だった。

俺「なぁ・・・全部言えって」

男友「なんだよ。なんか怒ってね?」

俺「怒ってねえよ」

男友「いや怒ってるだろ。っていうか俺が言わなきゃいけない理由ないだろ?」

俺「お前、俺の彼女に手え出しといてさ・・・」

男友「ああ、ああ。わかった。わかったよ」

もうこの時点でこいつとはこの先、関係の修復は難しいと悟っていた。

だから全部聞いた。

知りたくなかった。

でも聞かずにいられなかった。

こっからは全部男友の台詞。

男友「知ってるかもしれないけどさ、女友って高校の時お前の事が好きだったんだよ。でもお前彼女出来ただろ。◯◯ちゃん。それで女友の慰めてたんだって。あいつマジで泣いてたぜ。それでな、俺実はさ、中学の時女友が好きでさ、何回か告ってたんだ。それでそん時ムラムラきてさ。あとはまぁなし崩しってやつ。俺も初めてだったから上手くいかなくてさ、ゴムもつけれんから生でしたわ。女友も結構血が出ててビビったけど。そっからは・・・まぁセフレっていうか・・・まぁそんなもん」

俺「え?そっからずっとかよ?」

男友「ん~、まぁ大体。少なくとも2~3ヶ月に一回くらいは・・・。でもあいつに彼氏が居る時は絶対させてくれないけど。ああでも2、3回くらいしたかなぁ」

俺「・・・最近は?」

男友「え?いや・・・今日っていうか昨晩からだけど・・・」

どうも俺が元カノと会ってる間、女友を呼び出して、一晩中してたということらしい。

俺が来るついさっきまで二人とも裸だったと。

男友「なんか今日お前を誘ったけど、断られたって事らしいから泊まってったぞ。っていうか半分無理やり泊めたんだけど」

俺は顔からサーって血の気が引いていくのを自分でも感じた。

そんなショックを受けた俺を、何を勘違いしたのか、男友はオロオロと見当違いな慰め方をしてきた。

男友「な、なんだよ?お前もしたかったの?じゃ、じゃあさ今度三人でする?別に大丈夫だと思うぞ。大学に◯◯先輩っていたろ?あの人と三人でした事もあるし」

依然ショック状態から抜け出せない俺に、アホがとどめをさしにきた。

男友「あ、あいつってさ、電マ当ててると小便漏らすんだぜ!・・・はは、ははは・・・良かったらハメ撮りしたDVDとかあるけど観るか?」

俺は怒る気力も無ければ、そもそもそんな資格もなく、ゆっくりと立ち上がって、部屋から無言で出てった。

後ろからは「お、おい。ほらDVD貸してやるから」と声がかかった。

それから俺は今週の月火水と仕事を休んで、昨日から復帰した。

職場では体調管理の出来ない奴は云々と叱られた。

元カノは勿論、男友や女友と連絡は取っていない。

でもその全員から毎日のようにメールは来る。

女友は、俺が男友との関係を知ったことをまだ知らないみたい。

とりあえずこれで終わり。

皆ありがとう。

<続く>